はちみつとボトックス
今週のお題「好きなおやつ」
みなさんこんにちは。医学生の山田です。
今回は「好きなおやつ」について書いてみます。
、、、と書き出してみたものの、正直なところ、全然好きなおやつが思い付きません笑
ポテトチップスは3年くらい口にしてないし、チョコレートも、人からもらう程度で自分で買うことはありません。たぶん一番好きなおやつはドーナツなんですが、そのカロリーを知ってしまうと食べる気もなくなってしまうんですよね...
それでちょっと方向性を変えて「毎日食べてる甘味」について書こうと思います。
余談ですが、この一ヶ月を振り返ってみて、我ながら驚愕しました。9月に食べた甘い物はバナナ、オレンジ、蜂蜜、この3つだけだったのです。
偏食は良くないと思い、肉や魚、豆、野菜など様々な食材を食べているつもりでしたが、甘味は盲点でした。今月は反省して、色々な果物を食べようと思います。
さて、話を戻して毎日食べている甘味についてですが、月に3種類しか食べていないにも関わらず蜂蜜は毎日食べています!
蜂蜜って美味しいですよね。ミツバチに感謝です。
蜂蜜にはたくさんの種類がありますよね。アカシア、リンゴ、みかん、そば、レンゲ、マヌカなど、覚えきれないほど多種多様です。
それでは、これら全ての蜂蜜の共通点って何でしょうか?
医学生に答えさせたら十中八九こう答えるでしょう。
「ボツリヌス菌です笑」と。
ボツリヌス菌は空気がない環境で生活する細菌です。蜂蜜の中では、ボツリヌス菌は「芽胞」と呼ばれるカプセルの状態で眠っており、腸の中で目覚めます。SFに出てくるコールドスリープ状態みたいな物です。
ボツリヌス菌は腸で目覚めるのですが、ほとんどの場合、蜂蜜を食べても何の症状も出ません。それは、腸の中にはたくさんの腸内細菌がいて、ボツリヌス菌が増えないためです。しかし、赤ちゃんの場合、腸内細菌が不十分なのでボツリヌス菌が増えてしまいます。これが赤ちゃんの命を危険に晒してしまうのです。
ちなみに、ボツリヌス菌の毒素は自然界では最強と言われるほどで、青酸カリの10万倍の毒性があります。
赤ちゃんに蜂蜜をあげてしまうとボツリヌス菌が増えて、この恐ろしい毒素を作り出すので、赤ちゃんに蜂蜜をあげてはいけないのです。1歳未満の赤ちゃんには、絶対に蜂蜜をあげないでください。
また、自分で缶詰を作ったりする場合、缶の中でボツリヌス菌が増えることがあります(酸素がないため)。缶の中で作られたボツリヌス毒素は食中毒を引き起こし深刻な症状を呈する危険性があるので、なるべく市販の缶詰を買うようにしましょう。
しかし、ボツリヌス菌は人体に有害なだけではありません。
皆さんはボトックス注射という言葉を聞いたことがあるでしょうか。ボトックスというのは「Bo(ボツリヌス)+tox(毒)」で、ボツリヌス毒素のことを指しているのです。
毒素を注射するなんてとんでもない!と驚く方もいると思いますが、ボトックスには筋肉を働かなくさせる効果があり、これが治療に役立つのです。
この毒素は神経が筋肉を動かす経路を遮断するので、筋肉が柔らかくなります。これが毒として働くと呼吸ができなくなり死に至るのですが、適切な量であれば治療として使えます。
例えば、顔のひきつりなどは筋肉が動きすぎている状態なので、ボトックスによりこの症状が治ることがあるのです。
非常に興味深いですよね。毒と薬は表裏一体なので、このような例を調べてみると面白いと思います。
「好きなおやつ」からボツリヌス菌について語るとは思いませんでしたが、この文章が皆さんの気分転換などに役立ったら嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。これからも医学情報を発信して参りますので応援よろしくお願いします。